タマムシの飼い方

天然のタマムシ(ヤマトタマムシ)の飼育は非常に難しく、昆虫に詳しい方に聞いても同じ答えが返ってきます。 その原因として、タマムシは環境変化などのストレスに非常に弱く、すぐに拒食症になることが挙げられます。 何度も飼育を挑戦する中で、もっとも良いと思われる方法を紹介します。

ヤマトタマムシ
ヤマトタマムシ

特徴 一般にタマムシと呼ばれているのは、正式にはヤマトタマムシを指しています。体長25~40㎜程度。6~8月頃に見られます。日本の甲虫の中で最も美しいともいわれます。全体に緑色の金属光沢があり、前胸背から上翅の末端に向かい1対の赤いラインが走ります。飛ぶ速さは人間が走っても追いつける程度です。

生態 エノキやケヤキの高い所を暑い晴天の日によく飛翔します。特にオスがよく飛び、伴侶を探すためのようです。また、メスが産卵のため伐採木などにもくるようです。自然界では2~3年で成虫になり、寿命は1か月に満たないとか100日とか言われています。成虫のエサはエノキ、ケヤキの葉、アキニレ(ニレ科の植物なら他のものも食べるかもしれません)なども食べるそうです。幼虫は広葉樹の朽木の材部。産卵は伐採木、広葉樹の半枯れの部分などにし、木肌のひび割れ所、木と皮の間などに産み易いそうです。

飼育 大変難しいと思います。ストレスに弱くすぐに拒食症になります。

ヤマトタマムシのオス
ヤマトタマムシのオス
ヤマトタマムシのメス
ヤマトタマムシのメス

 オスとメスとの違いは、腹部の先端を見比べると判ります。オスは先端が割れているのに対して、メスは何もありません。

飼育に必要なもの

①飼育ケース

②水をためるための小さなカップ(ヨーグルトやゼリーなどの容器でいいです)

③エノキ、ケヤキなどの枝と葉(アキニレなども食べるそうです)

飼育ケースの作り方

 ②の容器に水を入れ、そこに③のエノキなどの枝を差し込みます。以前は、容器に脱脂綿やティッシュペーパーなどを入れて、タマムシの溺死防止にしていましたが、今では水だけ入れています。脱脂綿などを入れておくと安心ですが、面倒なのでやらなくなってしまいました。

容器にエノキの枝を挿したもの
容器にエノキの枝を挿したもの

 ①の飼育ケースの中に、先ほど作ったエノキの枝を挿したカップの順に入れます。最後にタマムシを入れて終了。写真はタマムシがフンをしたとき取り替えやすいように紙を敷いています。注意点として、エノキの葉が飼育ケース内全体にいきわたるぐらい、タマムシがエノキの葉に囲まれるくらい多くの葉っぱを入れてあげて下さい。

タマムシの飼育ケース
タマムシの飼育ケース

 エノキやケヤキは珍しい木ではありません。神社、公園、学校などによくあります。特にエノキは道路脇に生えているなど(私の周辺では)、身近なところに生えていることが多いです。また、アキニレなども食べるそうです。私は試していないのですが、ニレ科の植物なら他にも食べるのもがあると思います。タマムシは繊細な昆虫です。出来れば捕獲した場所に生えていたものと同じ種類の葉っぱで飼育した方がいいでしょう。

まずは個別飼育を

 複数のタマムシを捕まえた場合、まずは個別飼育をして下さい。個別に自分からエサを食べているか観察するためです。飼育ケースはなるべく大きなものの方がいいですが、私が個別飼育の時には、飼育ケース小20㎝✖15㎝✖10㎝ぐらいのものを使っています。先にも書きましたが、飼育ケース内に新鮮な葉っぱをいきわたらせるぐらいの量を入れて下さい。葉っぱを切り取って入れるのではなく、水の入った容器に挿した枝に付いた葉っぱを小さな飼育ケースに押し込める感じです。下の写真はアオマダラタマムシの飼育ケース(タマムシのものがいい写真がなかったので)です。飼育ケース内を葉っぱで一杯にしています。さらに、下の部分にも枝の切り口に濡らしたティッシュペーパーを巻き、それをラップで包んだ(乾燥しない為)ものを置いています。以前より飼育ケースに入れる葉っぱの量を多くしたところ、タマムシが自分からエサを食べてくれることが多くなったと最近感じています。

アオマダラタマムシの飼育ケース
アオマダラタマムシの飼育ケース

タマムシの飼育はエサの鮮度が重要

 タマムシは繊細な昆虫で飼育下だと拒食症になりやすく、新鮮なものでないとなおさら食べてくれません。枝を切って来て、30分経つか経たないかのうちに枝先の方の新しい葉がしんなりとなってしまうことがあります。この原因の多くは、切った時に気泡が入ってしまい水の吸い上げが悪くなった状態のようです。下のリンクに枝の鮮度を保つ方法をまとめてあります。ただ、心配であるなら、枝を切って来る時に2本切ってくると両方ともしおれてしまうことは少ないです。エノキを採って来る時の他の注意点として、生えて間もないエノキの木(まだ若く枝の部分がまだ緑色をしているもの、葉は柔らかく美味しそうに見えます)はしおれるのが早いようなのでタマムシのエサには向きません。蛇足ですが、エノキの葉を食べるゴマダラチョウの幼虫は、生まれて間もない1齢、2齢幼虫の時、この若い葉を与えた方が生存率が高くなります。生まれたばかりの赤ちゃんでは硬い葉が食べれないのです。

タマムシの飼育ケース
タマムシの飼育ケース

タマムシの飼育で最も重要なこと

 タマムシは直ぐに拒食症になります。これは環境変化などによるストレスが原因と思われます。つまり、必要以上に人間の手をかけず、そっとしておくことが重要なようです。

 以前は、飼育環境が悪かったせいか捕獲日から4日目にはほとんど死なせてしまっていました。そこで、私はタマムシに無理矢理エサを食べるという方法を採りました。すると、少し長く飼育出来るようになりました。ただ、せいぜい1週間程度でした。

 2020年は広い飼育ケースならストレスが減ると思い、ダンボールで飼育ケースを作りました。大きさは縦56㎝✖横46㎝✖高さ100㎝のものができました。容量だとホームセンターで売っている最大サイズの飼育ケースの4~5倍ぐらいあると思います。タマムシをそこで7匹を飼育したところ、45日間、27日間、20日間10日間飼育できた個体がいました。残りの3匹は3~4日で死んでしまいました。その3匹は、エサを食べないと思って無理矢理エサを食べさせたり、触ったりしたものでした。そっとしておけば、エサを食べる個体は自分から食べてくれるようでした。今までの苦労から、こんなに簡単に長く飼育出来ることが意外でした。

 後記に紹介しているシュダンマーさんも出来るだけそっとしておくことによって、20日間飼育できたそうです。驚くべきことは20㎝✖15㎝✖10㎝という小さな飼育ケースで飼育されていることでした。飼育ケースの大きさより静かで落ち着ける環境こそがタマムシにとって大切ということになります。

タマムシの飼育ケース2
タマムシの飼育ケース2

タマムシの生死を分ける3日目の夜の決断

 先ほど書きましたが、2020年は7匹飼育して、4匹は長く飼育出来ましたが、残りの3匹は3~4日目(捕獲した日を1日目と数えて)で死なせてしまいました。そこで問題なのが、3日目の夜にタマムシがエサを食べていなかった場合どうするべきかということです。まず4日目には死んでしまいます。そのままそっとしておき最後の1日で食べてくれることを祈るか、無理矢理エサを食べさせて、自分で食べるようになるまでの時間を作るかという選択肢があります。ところが、無理矢理エサを食べさせることは、先ほど書いた”そっとしておく”ということと矛盾します。しかも、このような自分でエサを食べてくれない個体は、無理矢理エサを食べさせてもなかなか食べません。ただ、3日目の夜に無理矢理エサを食べさせて成功した例もあります。

タマムシにエサを食べさせている様子
タマムシにエサを食べさせている様子

 上の写真はタマムシに無理矢理エサを食べさせている様子です。これが非常に大変です。葉のところにタマムシの口を持っていっても直ぐには食べてくれません。まず、タマムシはもがきます。食べるどころではありません。それでも我慢強くエサを口のところに持っていくと、その内エサを噛み始めます。さらに我慢強く続けるとやっと食べてくれます。これが10分~20分かかると思って下さい(これも個体の性格差によって違います)。これを自分でエサを食べるようになるまで続けます。非常に苦労します。

現在の私の飼育方法

 ①個別飼育をして自分で食べるか様子を見ます。

 個別飼育の時には、飼育ケース一杯にエサを入れます(エサを一杯に入れた方が自分から食べてくれることが多いです)。自分で食べたことが判った個体はダンボール飼育ケース(縦56㎝✖横46㎝✖高さ100㎝)に移して、のびのびと飼育します。

②飼育ケースの置く場所は、静かで比較的明るい場所にします。ただし、直射日光が当たる場所は避けます。

③捕獲した日を1日目と数え、3日目の夜にエサを食べていないと確認した個体は、無理矢理エサを食べさせます。エサを自分から食べていると判断出来るまで個別飼育を続け、エサを無理矢理食べさせます。食べるようになった時点でダンボール飼育ケースに移します。

④エサの取り替え時期は、目で見てしおれていたら直ぐに替える。(結局は、ほぼ毎日採って来るようにしました)その日にしおれてしまうものもあるので注意しています。

⑤飼育ケース内を霧吹きなどで加湿はしません。加湿するよりも、新鮮なエサを与えて、エサから水分を摂ってもらうようにしています。

 

 私の場合はこのような飼育方法を採っていますが、飼育ケースが小さなものしか持っていない方は、飼育ケース内をエサで一杯にして飼育してゆけば長く飼育出来ると思います。大容量の飼育ケースの方が長く飼育出来る可能性は高いとは思いますが、最も重要なことは、タマムシが静かに落ち着いて居られる環境です。

ダンボール飼育ケース
ダンボール飼育ケース

 2020年の飼育で思ったことは、ダンボール飼育ケースの有用性です。後にも書いてありますが、広いのでタマムシをのびのびと飼育でき、ストレスの軽減に大きく貢献していたと思います。さらに、

①コストが安い

②大容量の飼育ケースの製作が可能

③汚れてしまったら捨てればいい

 ①コストはダンボールはタダ。購入するのは窓に使う網とガムテープくらい。網も虫網の壊れたものを流用したりすればタダ。ホームセンターなどで飼育ケースの特大のものを買おうとすると数千円かかります。②の大容量ものも、冷蔵庫などのダンボールを手に入れれば簡単に作れます。また、蝶(タテハ、ヒカゲチョウ)などは何匹も飼うことができます。息子は10匹程度一度に飼育していたこともあります。蝶は飛んでも広いので翅がボロボロになりにくいです(ただし、蝶の場合は、壁に止まれるためのネットを付けるなどの方法が追加で必要です)。③虫のフンなどで汚れたら捨てればいいのです。

欠点としては

①クワガタなどには使えない

②湿気を含むと柔らかくなってしまう。

③作る労力がいる。

 ①クワガタなどの隙間に潜り込むタイプの昆虫には使えません。②ダンボールは湿気を含むと柔らかくなって強度が落ちます。長く使っているとどうしても弱くなっていきます。そうなったら、強化パーツで補強するか新作します。③労力はいります。ダンボール飼育ケース1号は8~10時間かかりました。2階建てで分解ができ、ちょっと凝った作りにしました。冷蔵庫用などの大きなダンボールを手に入れればもっと早く作れます。

 ダンボール飼育ケースに興味を持たれた方は下のリンクへどうぞ。

産卵も難しいタマムシ

 長く飼育出来るようになりましたが、私はまだタマムシの産卵に成功していません。産卵を考えた場合、タマムシには朽木の硬さ、新しさにはこだわりがあるようです。また、朽木の割れ目などをわざわざ作ってやる必要もあるようです(私はタマムシに必要な新しい産卵木を手に入れる方法を知りません)。産卵のことはタマムシ愛好会さんのホームページに詳しいことが書かれています。そちらを参考にされて下さい。

タマムシの飼育Q&A

Q タマムシのエサは何がいいでしょうか?

A  主に、エノキ、ケヤキなどがエサになりますが、アキニレなども食べるそうです。 ニレ科の植物なら食べる可能性はあると思います(私は今まで試してはいません)。 捕獲したタマムシがいた木の葉が最もいいと思います。

 

Q エサはいつ頃取り替えますか?

A  エサ(エノキ、ケヤキ)の枝は1~3日で取り替えます。 実際は3日以上でも葉は萎れないこともあります。 萎れる前もしくは、萎れたら直ぐに取り替えて下さい。

 

Q エサ(葉っぱ)はどのくらい必要ですか?

A 飼育ケース内に十分にいきわたるくらい、タマムシの周囲を覆うくらい必要だと思います。最初に1匹づつ個別飼育をしている時、以前より沢山の葉っぱを入れるようになってから、自分から食べてくれる個体が多くなりました。

 

Q  エサが直ぐに萎れる時があります。 どうしてでしょうか?

A エサを長持ちさせるには水を綺麗に保つ必要があります。 水が綺麗でも枝の切り口が傷んでいると水の吸い上げが悪くなります。 葉の蒸散作用で水が葉から失われる方が吸い上げる量より多くなると萎れてきます。 毎日水を替え、枝先を切って枝の切り口を新しくする必要があります。 また、空気中で枝先を切ると気泡が入ってしまい水の吸い上げが悪くなることがあります。 これは頻繁に起こります。 この対処法は、枝先を水を入れたバケツなどの中で切ることで気泡が入らなくなります。 これは生け花などで行われる”水切り”と呼ばれる方法です。

 

Q 霧吹きなどで飼育ケース内を加湿しますか?

A 私はダンボール飼育ケースを使っていたので加湿しませんでした。私は、水分はエサから直接摂らせるのが効果的だと思っています。したがって、エサの鮮度には特に気を配っています。 ただ、後記に紹介するシュダンマーさんは1日最低2回霧吹きで加湿していたそうです。 人間も湿度が高い時はあまり喉が渇きませんが、低いと喉が渇きます。 特に気温が高くなってくると、何らかの形でタマムシに水分を与えた方がいいと考えています。

 

Q 飼育ケースはどこに置くのがいいでしょうか?

A  直射日光の当たらない比較的明るい場所がいいと思います。 直射日光が当たると飼育ケース内の室温が予想を超えて上昇する可能性があります。 タマムシは日陰で暮らす昆虫ではないので、明るい場所の方が自然な営みができると思っています。 また、最も重要なのが人の気配がしない静かな場所に置くことです。

 

Q 飼育の適温は何℃くらいでしょうか?

A  26℃前後と思っています。 私の住んでいる所(岐阜県岐阜市)では、タマムシは6月下旬~8月頃によく見られます。 夏の昆虫という印象があります。 ただ、真夏の30℃を上回るような日にはエアコンなどで温度管理をした方がいいようです。 2020年の飼育では、8月上旬(気温が高くなってきた頃)に次々と昆虫達(タマムシを含め、蝶など)が死んでいきました。 真夏の飼育には注意が必要だと感じています。

 

Q 観察したり、触ったりしてもいいですか?

A  タマムシは臆病な昆虫です。 タマムシがエサを食べている時、私が覗いているのに気づくと、エサを食べるのをやめ、じっと動かなくなったり、私が動くとそれにびっくりしてビックと反応したりします。 観察したり、触りたい気持ちは解りますが、できるだけ”そっとして”おきましょう。

 

Q  いつもと違いよく羽ばたいています。 どうしたのでしょう?

A  タマムシがよく羽ばたく時は、雄が雌を探していることが多いです。 ただ、羽ばたいたあとに翅が中途半端に開いていたり、裏返ってバタついているものは弱ってきている時に多い行動です。 私の経験上では次の日には死んでしまいます。

 

Q  タマムシが弱っています。 どうにかなりませんか?

A  今のところ弱ってしまったタマムシを回復させる方法は分かっていません。そうならないように出来るだけ健康な状態を維持するようにしています。

タマムシ46㎜
タマムシ46㎜ 自慢の1匹

タマムシの飼育記録(訪問者編)

 ここでは、訪問者の方の中でタマムシの飼育方法を教えて下さったものを紹介します。

シュダンマーさん

>まず、飼育ケースは、たまたま家で空いていた飼育ケースを使用しました。サイズは20㎝✖15㎝✖10㎝位の大きさです。正直、ちょっと小さいとも思いましたが、大きいケースをわざわざ買うのもと思い、そのまま此方で通しました。次にケースの下の部分は甲虫なんかで使うヤシのチップをひきましたが、これはたまたまあったからです。それから餌が榎や欅の葉と聞いて、榎探しです。たまたま近所に欅が有りましたから、その樹から葉を取って与えてました。植物なので枝の部分は水の入るピックに差して、飼育ケースに入れました。これで大体2日は保てたので、2日に一回は葉の交換を行いました。タマムシの方から餌の葉を食べてくれたので、此方がわから葉を食べさせる行動はしませんでした。それから、1日最低2回は霧吹きで水やり。あと、温度差が少なくて刺激が少ない場所、我が家の場合は玄関の下駄場の下でしたので、此処に安置。それからタマムシにストレスを与えないように、なるべくタマムシには触れないようにつとめました。小さなケースでしたが、一匹で飼っていたことも、ストレスにならずによかったのかなと思っています。

管理人>シュダンマーさんはこの方法で2020/8/22まで20日間タマムシを飼育出来たそうです。

おこめさん

>去年飼育した個体では、20日近く生きた個体がいます。あと飼育ケースをもう少し大きめのものにしてえのきをもっと沢山ケースに入れた方がいいです。えのきの葉は、二日に一回ぐらい変えた方がいいです。

管理人>これは2020年頃の私の飼育方法を見て助言を下さったものです。

タマムシがエサを食べている
タマムシ 手から離して直ぐにエサを食べている様子

 タマムシは、偶然見つける以外なかなか捕まえれません。でも、探してみると、案外、身近な所に居たりします。タマムシのいる木の見つけ方と、捕まえ方については、ホームページの”捕獲、捕まえ方”のタマムシのところで紹介しています。私は、タマムシを捕りに行くと、2018年頃には1回で8匹前後捕れましたが、2019年は環境変化があったようで2~4匹程度しか捕れなくなりました。2020年に捕りに行っている場所だと1時間で1~2匹程度です。タマムシがよく飛んでいる木を見つけられるかが成果につながります。

タマムシの飼育記録

 2019年から本格的に記録を取った飼育記録です。いろいろ方法を変えているので、私の変更したことや間違った方法などは、皆さんが飼育する上で何らかの役に立つのではと思い書いたものです。

2019年に考えた最初の飼育方法

1、エサを食べなければ、無理矢理食べさせる。夜に1回。

2、その日に採ってきたエノキの枝をカップに刺してエサにする。

3、飼育ケース(プラスチックのもの)は一番大きなものにする。

4、飼育ケースは直射日光の当たらない比較的明るいところに置く。

5、夜、霧吹きで全体をまんべんなく濡らす。

6、エサは基本、毎日採ってくる(エノキまたはケヤキ)

 

 上記の飼育方法で解ったこと、問題点

  4匹のタマムシは、4日目1匹、5日目2匹、7日目1匹死んでいきました。これまでの飼育の仕方より長く生きていてくれました。無理矢理でもエサを食べさせた方が長く生きるようです。エサを食べない個体ほど早く死んでしまったように思います。その他の死亡原因として考えられることは、1、環境変化や人間に触られることによるストレス。2、逃げようとしたりして体力を普段より多く使った。3、そもそも与えられる水分が足らなかった。4、風通しや湿度など飼育環境が悪かった(室温もあると思いますが、最近は気温が低かった)などが考えられます。次回には、エサの与え方は今回の方法でいいと思うので、タマムシが落ち着いて居られる環境を作ることを目標にしたいと思います。

 ※この時点では、普通に飼育していては直ぐに死んでしまうので、無理矢理食べさせることによって、少し長く飼育出来るのを確認できた飼育結果でした。

 

前回を踏まえた上でのタマムシの飼育方法

1、タマムシを捕まえたら、すぐにタマムシのエサBOXに閉じ込める。タマムシのエサBOXの作り方は下記のリンクを参照しました。

 コーヒーハウス プランタン タマムシ飼い方(飼育) (eonet.ne.jp)

 非常に詳しく丁寧にタマムシの飼育のことが書かれています。

2、タマムシのエサBOXを飼育ケースに入れ静かで暗い場所に置く。(夜を演出するため)

3、学校から帰ったら、タマムシのエサBOXから出し、しばらく動き回らせる。

4、タマムシのエサBOXのエサを食べたか確認し、食べていない個体には無理矢理食べさせる。

5、就寝前にすべてのタマムシをタマムシのエサBOXに閉じ込める。

 

上記の飼育で解ったこと、問題点

  今回は最も多い時で6匹を飼育していました。3日目2匹、4日目1匹、5日目1匹、7日目1匹、9日目1匹で死んでいきました。早く死んでしまった原因は、飼育が行き届かなかったことです。エサを与えるのを1日以上空けてしまったことだと思います。それだけ繊細な虫だということを思い知りました。死にかけてもうエサを噛む力がなくなってしまうとどうすることもできません。そうならないようにするため、夜のみのエサやりより、朝、夜の2度のエサやりと健康チェックが必要かもしれません。また、タマムシのエサBOXは上手く再現出来ませんでした。今回メスが2匹いたにも関わらず産卵しなかったのは、産卵用の朽木の状態が悪かったからと思われます。

 ※この時点では、以前よりは無理矢理エサを食べさせて飼育した方が長く飼育出来ることが分かってきていたので、1日に2度エサを与えようとするなど、食べさせることにこだわって飼育していました。結果、全て10日以内には死なせてしまいました。また、産卵にも失敗しています。

 

前回、前々回を踏まえた上でのタマムシの飼育方法

1、飼育ケースの一番大きなものにエノキの枝をカップに挿したものを入れる。

2、朽木を入れる。市販のものに割れ目を入れたものと拾ってきたクヌギの朽木

3、朝の内はダンボールで覆い暗くして、夕方に外して寝る前に被せる。(明るくする時間を短めにして体力を使わせないようにし、少なめの活動時間を与える。)

4、健康チェックは朝、夜の2回。

5、朝のチェックでエサを自分で食べている場合は何もしないが、夜のチェックでは、十分にエサを食べている確証がない限り、無理矢理食べさせる。

6、基本はなるべく触らないが、エサを食べない場合は何度も試す。(今までのほとんどの個体は、前日に食べが悪い場合に死ぬことが多い)

 

上記の飼育で解ったこと、問題点

 今回のタマムシは産卵する気が満々であったにもかかわらず、朽木に産卵しなかった。やはり、年月の経った朽木には産卵しないようです。朽木を加水して与えた場合どうなのかを調べたかった。反省点は、外から拾って来た朽木にハサミムシがおり、タマムシを挟んで傷つけ、それが原因で死んでしまった。外から拾ってくる場合、中に何がいるか判らないので何らかの処理が必要かもしれない。(例えば、水に1日程度沈めて中の生き物を窒息させるとか)

 ※この時点では、タマムシは朽木ならどんなものにでも産卵すると思っていたので、朽木を加水して与えようとしていました。タマムシ愛好会さんのホームページに出会うまではタマムシの朽木の好みを知りませんでした。

 

2019年を通してタマムシの飼育結果から

 今年からエサを食べない場合、無理矢理食べさせるという方法を採りました。結果として、前年度までは捕まえた日から3~4日でほとんどの個体が死んでしまいました。稀に自分でエサを食べたものが1週間程度生きていました。今年は全部で11匹(今年はあまり捕まえれず少なかった)を飼育し、3日目2匹、4日目3匹、5日目3匹、7日目2匹、9日目1匹という結果になりました。少なくとも、エサを無理矢理にでも食べさせた方が生きてくれるようです。

 また、タマムシのエサBOXの作り方が再現出来ていないか、コツがわからない為か思うように餌付けができませんでした。タマムシのエサBOXで餌付けできない個体を、無理矢理食べさせて餌付けをするという両方を併用するのが理想形と考えています。そして、餌付けが出来た個体は出来るだけ人間の手を加えず、そっとしておいてストレスをかけないことで、飼育下の寿命を延ばせるのではないかと思っています。飼育ケースの置き場所も直射日光の当たらない明るい場所に置くか、暗い場所に置くか悩んでいる所です。

 ※この年は、エサを無理矢理食べさせれば、少しは長く飼育出来るのが分かった年でした。また、タマムシのエサBOXが再現出来ず四苦八苦していました。これは私が製作の仕方に我流が入ってしまったために起こってしまったことだと思います。

産卵場所を探しているタマムシ
産卵場所を探しているタマムシ

2020年の飼育

①ダンボール飼育ケース(縦56㎝✖横46㎝✖高さ100㎝)で飼育(広いのでストレスを軽減)。

②エサはエノキの枝をビンに刺したものを与える。

③エサを自分で摂らない内は夜に1回無理矢理食べさせる。

④飼育ケースの置き場は日陰に置きます。

 

2020年の飼育で解ったこと、問題点など

 今回飼育したタマムシは、最初からエサを素直に食べてくれました。このような個体は長生きする場合が多いです(45日間飼育しました)。また、最初に比べてフンの量が増えていったということから、縦56㎝✖横46㎝✖高さ100㎝という大きさのダンボール飼育ケースはタマムシのストレスを和らげているのではないかと思います。また、2度目に捕って来たタマムシも1匹は死んでしまいましたが、もう1匹は27日間生きています。広い飼育ケースがストレスを減らしている可能性が大きいのと、最初のタマムシが食べる姿などを見て安心できたのかもしれません。また、フンなどのタマムシ特有の臭いも安心感を誘った可能性があります。ただ、何らかの手を加えたタマムシは3日目ぐらいには死んでしまいました。触ること自体がタマムシには非常にストレスになるようです。私の考えた”無理矢理エサを食べさせる方法”はやらない方がいいようです。ただ、捕獲日から数えて3日目の夜にタマムシがエサを食べていなかった場合、次の日にはまず死んでしまいますので、この方法を採るべきか悩むところです。一週間以上飼育出来たタマムシが4匹いましたが、猛暑日に入り次々と死んでいきました。猛暑の時は飼育に注意が必要なようです。クーラーなどで室温の上昇は抑えていましたが、飼育ケース内は風通しが悪いため、私が思う以上に過酷な状態だったかもしれません。また、夜にはクーラーを切っていました。一日中温度管理をしなければならないのかもしれません。でも、電気代が・・・・・。タマムシを捕まえに行っても酷暑の時は飛びません。おそらく、木陰でじっとしているのでしょう。真夏の飼育の仕方が次の課題となります。

  ※この年は、7匹飼育し、3日、4日、5日、10日、20日、27日、45日間飼育出来ました。ダンボール飼育ケースという大容量の飼育ケースで飼育しました。それが要因の一つだと思われますが、長く飼育出来るようになりました。ただ、個別飼育という考え方をしていなかったので、どのタマムシがエサを食べているか判断出来ないため、食べていない個体が死んでいきました。また、長く飼育していた個体も猛暑の時期に次々に死んでしまいました。

アオマダラタマムシ
アオマダラタマムシ

2021年の飼育

①捕まえたタマムシはまず個別飼育をする。

②エサを自分で食べている個体はダンボール飼育ケースに移し飼育。

③エサはエノキの枝をビンに刺したものを与える。

④エサを自分で摂らない内は夜に1回無理矢理食べさせる。

⑤飼育ケースの置き場は、直射日光の当たらない比較的に明るい場所に置きます。

 

2021年の飼育で解ったこと、問題点など

 今年の飼育では、6匹を飼育し、3日、4日、4日、10日、11日、18日飼育出来ました。個別飼育でエサを自分で食べているか見極めるつもりが、見極めがいい加減であった(複数の飼育ケースを管理するのが面倒くさい)ため死なせてしまった可能性があります。また、エサが少し萎れた状態でも与えていたことがあり、そのような気配りの欠如が飼育期間が伸びなかった原因と考えられます。

 ※この年は、個別飼育を始めました。個別飼育の見極めをしっかりすることが大切だと思いました。また、エサが少しでも萎れている状態では良くないのではと思いました。エサを食べない個体を無理矢理食べさせて、自分で食べるようになるまで続ける方法で、アオマダラタマムシは11日間飼育出来ました。

飼育中のタマムシ
飼育中のタマムシ

2022年の飼育

①捕まえたタマムシはまず個別飼育をする。飼育ケース内にエノキの葉が一杯になるようにする。

②エサを自分で食べている個体はダンボール飼育ケースに移し飼育。

③エサはエノキの枝をビンに刺したものを与える。エノキは飼育ケース内にいきわたる程度の大きな枝を採って来る。ほぼ毎日交換する。

④エサを自分で摂らない内は夜に1回無理矢理食べさせる。

⑤飼育ケースの置き場は、直射日光の当たらない比較的に明るい場所に置く。

 

2022年の飼育で解ったこと、問題点

 今年の飼育では、5匹を飼育して、6日、17日、25日、29日、41日という結果になりました。特に注意したことは、個別飼育の見極めをしっかりとしたこと、飼育ケース内はエサで一杯にするように心掛けたことです。それにより素晴らしい結果が得られました。今年の飼育では無理矢理食べさせる必要がなく、全ての個体が自分から食べてくれました。無理矢理食べさせるという行為は最終手段と思って下さい。また、おそらく、タマムシの死亡の主原因は体内の水不足だと思っています。蝶やハンミョウなどもエサの状態が悪かったり、室温が高い時などによく死んでしまいます。タマムシは拒食症になったり、エサが萎れていたりして、十分な水分を摂れない時に死んでしまうように思います。体内が水分不足にならないように飼育するというのが、今年の飼育から導き出された重要な要素です。タマムシを沢山のエサで囲むという方法は、前記したタマムシのエサBOXに似ているところがあるように思います。タマムシのエサBOXは、タマムシの食い破って脱出するという性質を利用したものとのことです。ただ、タマムシをエサで覆うということが、実はこれも重要な要素ではないかと考えています。最後に、産卵について、クワガタ用朽木に穴を開けたり、切り込みを入れたものを一緒に入れておきましたが、産卵することはありませんでした。やはり、今年伐採された木でないと産卵しないのでしょうか?そのような木の入手方法が分かりません。これが来年以降の課題になります。

 タマムシの飼育について、試行錯誤して今でも良い方法がないか探しています。上記の方法でタマムシを飼育して、上手く出来た方、出来なかった方、ホームページTOPの”ご意見、ご感想”のところに「飼育環境(どのくらいの飼育ケースを使われたのかなど)」「飼育期間」「飼育をして分かったこと」など書き込んで頂けると幸いです。それを参考にして、よりよい飼育方法を考えていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。